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証拠・法律ガイド

AirTagで浮気調査は犯罪?
改正ストーカー規制法と逮捕リスク

2026年施行の改正ストーカー規制法により、AirTagやTileなどのトラッカーを無断設置する行為は刑事罰の対象になりました。浮気調査でやってしまいがちな行為のリスクを、法律の条文と判例で解説します。

AirTagで浮気調査は「犯罪」になった

2026年に施行された改正ストーカー規制法(令和7年法律第83号)により、「位置情報記録・送信装置」を相手の意思に反して設置する行為が、新たに刑事罰の対象となりました。

対象となる機器の範囲は広く、Apple AirTag、Tile、Ankerの「Eufy SmartTrack」など、Bluetooth Low Energy(BLE)を使ったすべての位置情報追跡デバイスが含まれます。「小型だから」「バレなければ大丈夫」という認識は通用しません。

罰則:1年以下の懲役または100万円以下の罰金(改正ストーカー規制法18条)。ストーカー規制法違反は前科がつく刑事罰です。民事の損害賠償とは別に、警察の捜査対象になります。

改正前との違い

改正前のストーカー規制法にはGPS追跡に関する明示的な処罰規定がなく、「つきまとい」の一類型として解釈するにとどまっていました。2021年改正でGPS追跡が規制対象に加えられましたが、「設置行為そのもの」の刑事罰化は2026年改正で初めて実現しました。この改正により、追跡を意図してデバイスを設置した時点で犯罪が成立します。

「夫婦の車でも」「自分のAirTagでも」関係ない

よくある誤解として「共有名義の車に置いただけだから問題ない」「自分所有のAirTagだから合法」というものがあります。しかし法律が禁止しているのは「設置行為」と「相手の意思に反した位置情報の取得」です。車の所有権やデバイスの所有権は、違法性の判断に影響しません。

2024年旭川地裁判決が変えた「常識」

AirTag規制の議論に先行して、2024年3月22日に旭川地方裁判所が下した判決は、浮気調査における位置情報取得の違法性を明確に示しました(令和6年3月22日判決)。

事件の概要

妻が探偵事務所に浮気調査を依頼したところ、探偵が夫および不倫相手の車にGPS発信機を無断設置し、約20日間にわたり位置情報を追跡。さらにラブホテルの敷地内に立ち入り、2人が一緒に施設を利用している状況を撮影しました。

判決の内容

旭川地裁は、GPS設置によるプライバシー侵害を認定し、夫(被追跡者)に対して慰謝料20万円の支払いを命じました。この判決は2025年に札幌高等裁判所で確定しています。

判決の中で裁判所は「位置情報は他者にみだりに開示されたくない個人情報であり、調査目的があったとしても違法性は阻却されない」と明示しました。この論理は、浮気調査を目的とした位置情報取得全般に適用されます。

判決のポイント:探偵の行為であっても、依頼者(妻)も連帯して不法行為責任を負う可能性があると裁判所は示唆しています。「探偵に任せたから自分は無関係」は成り立ちません。

ラブホテル敷地内への立ち入り撮影

上記の事件では、GPS追跡に加えてラブホテルの敷地内に探偵が立ち入り撮影した行為も問題になりました。ホテルの敷地は管理者の許可なく立ち入れない私有地であり、無断立ち入りは住居侵入罪(刑法130条)のリスクがあります。「公道からの撮影」でない限り、証拠としての適法性も失われます。

合法的に位置情報を確認する方法

「どこに行っているか確認したい」という気持ちを否定しません。ただし適法な方法に限定される必要があります。

共有車のドライブレコーダー確認(合法)

自分も乗る共有の車に設置されているドライブレコーダーのデータを確認することは、基本的に合法です。走行ルート・日時・速度が記録されており、特定の場所への訪問履歴を確認できます。ただし「証拠として裁判で使える形」で保存するには、改ざん防止の観点から動画ファイルをそのまま保存することが重要です。

カーナビの履歴確認(合法)

共有車のカーナビに残る目的地履歴・走行ルートの確認も合法です。ホテルや見知らぬ住所への訪問記録が残っている場合があります。

Googleマップのタイムライン(双方の合意がある場合)

GoogleマップのタイムラインはGoogleアカウントに紐づいた位置情報の履歴です。本人が設定しているアカウントのタイムラインを「本人に見せてもらう」形で確認することは問題ありませんが、無断でログインしてアクセスする行為は不正アクセス禁止法違反になります。

合法的な位置情報確認の原則:「自分も正当な権限を持つ機器のデータ」「相手の同意がある場合のみ」。この2つの条件を外れると違法リスクが発生します。

リスクをとらずに調査する現実的な選択肢

位置情報の追跡に頼らず、浮気の可能性を判断する方法があります。帰宅時間の変化、クレジットカードの明細に記録される店舗・ホテル名、スマートフォンの使い方の変化といった行動パターンの変化を継続的に記録することが、後に有効な証拠の束になります。

日々の変化を記録しておくことで、探偵に依頼した際の調査効率も上がります。「いつ、どこで、どんな変化があったか」を事前に整理してから依頼すると、調査期間の短縮=費用削減につながります。

よくある質問

Q. AirTagを車のトランクに入れておくのも違法ですか?
A. 2026年改正ストーカー規制法は「相手の意思に反して位置情報を記録・送信する装置を設置する行為」を処罰対象にしています。共有の車であっても、相手に無断で追跡目的で設置した場合は違法になります。
Q. 探偵がGPSを使うのは合法ですか?
A. 探偵業者であっても、相手の車に無断でGPS発信機を設置する行為は違法です。2024年旭川地裁判決でも探偵の行為について違法性が認定されており、依頼者も連帯して責任を負う場合があります。
Q. AirTagで得た位置情報は裁判で使えますか?
A. 違法に収集した証拠は民事訴訟でも証拠採用を拒否される場合があり、逆に不法行為として損害賠償請求を受けるリスクがあります。証拠収集は合法的な方法で行うことが必須です。

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