慰謝料・法律ガイド
浮気の慰謝料相場を判例で解説
離婚する・しないで変わる金額
「慰謝料はいくらもらえるのか」。ネット上には根拠のない数字が溢れています。このページでは2020年以降の裁判例をもとに、離婚する場合・しない場合・W不倫の相場を整理します。金額を左右する要素も具体的に解説します。
慰謝料の相場(判例ベース)
浮気・不倫による慰謝料は、事案の内容によって大きく異なります。「50万円から300万円」という幅広い範囲が現実ですが、どのケースがどの水準に対応するかを整理します。
| 状況 | 相場 |
|---|---|
| 離婚する場合 | 200〜300万円 |
| 別居のみ(離婚協議中) | 100〜200万円 |
| 離婚しない場合 | 50〜100万円 |
| W不倫の場合 | 50万円前後(相殺されやすい) |
金額を左右する要素
同じ「浮気」でも、裁判所が評価する要素によって金額は数倍変わります。以下は判例で繰り返し取り上げられる増減要因です。
増額要因
- 婚姻期間が長い:20年以上の婚姻関係の破綻は、損害の大きさが認定されやすい
- 未成年の子がいる:子の養育環境への影響が「損害の拡大」として評価される
- 不貞の期間・頻度が多い:数年間・週1回以上といった継続的な不貞は悪質性が高いと判断される
- 発覚後も不貞を継続した:請求後も関係を続けた場合、反省のなさが増額事由になる
- 発覚後に否認し続けた:証拠があるにもかかわらず一貫して否定する態度は裁判官の心証を悪化させる
- 不倫相手が妊娠・出産した:婚外子の存在は婚姻関係への影響が大きいと評価される
- 被害者が精神疾患を発症した:うつ病・PTSDなどが診断書で証明された場合、損害として加算される
減額・棄却要因
- 発覚前から家庭内別居だった:婚姻関係が既に破綻していた場合、「破綻させた」損害が認められない
- 証拠が不十分:「親密な関係」の証拠しかなく、肉体関係の立証に失敗した場合は棄却
- W不倫で求償権行使:自分も不貞していた場合、相殺・減額されやすい
- 婚姻期間が短い:1〜2年程度では「破綻による損害」が限定的と評価される傾向
高額になった判例・低額・棄却の判例
高額になった事例
東京地裁令和3年(2021年)の事案では、10年以上にわたる継続的な不貞行為・不倫相手との間に子が生まれた事実・発覚後も関係を継続したことが重なり、300万円の慰謝料が認められました。被害者がうつ病を発症し、就労不能になった損害も算入されています。
低額・棄却になった事例
大阪地裁令和2年(2020年)の事案では、請求した側(妻)も不倫関係にあったW不倫であることが判明し、「双方の不法行為が相殺される」として認容額が50万円にとどまりました。また、東京地裁令和4年(2022年)の事案では、証拠がLINEのスクリーンショットのみで、改ざんの可能性が否定できないとして棄却されています。
W不倫の場合の注意点
自分もパートナー以外との肉体関係があった場合、慰謝料を受け取れたとしても「求償権」の問題が発生します。
求償権とは
浮気相手(不倫相手)があなたに慰謝料を全額支払った場合、その相手はパートナー(配偶者)に対して「自分が一人で払いすぎた分を返せ」と請求できます(民法442条)。これを求償権といいます。W不倫の場合、浮気相手が慰謝料を支払った後にパートナーから半額を回収する、というケースが実際に起きています。
証拠がなければ慰謝料は取れない
どれだけ金額の相場を知っていても、証拠がなければ請求は認められません。協議(話し合い)で相手が認めて示談書に署名すれば問題ありませんが、相手が否定した場合は裁判で証明する必要があります。
裁判で求められる証明基準は「性的関係があったと合理的に認められる」レベルです。「怪しい」「親しそう」では足りません。ホテルへの入退出記録・性的関係を明示したメッセージ・探偵の調査報告書が主な証拠となります。
日々の行動の変化・発言の記録・クレジットカード明細の保存といった地道な記録が、後になって証拠の束として機能します。「疑い始めた日」からの記録が大切です。
よくある質問
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